みなさん、こんばんは
ムラーノ島にやって来た。
人口6000人ほどの島はムラーノガラスとして有名だ。
島にはコロンナ(Colonna)という停留所で降りる。時間は既に11時を15分ほどまわっていた。私が懐かしく想うお食事処がここムラーノにある。ブラーノ島に行ってから戻ってここで昼食を取っても良かったのだが、そのお店は非常に混み合う。むしろ早めのランチの方がいいかと考えた。フォンダメンタ(Fondamenta)という運河沿いの道を散歩がてら歩く。因みにこの道はFondamenta dei Vetrai、ヴェトライ通り。
沢山のガラス細工のお店がある。お店までは15分もあればゆっくり歩いても着きそうなものだがついつい立ち止まりガラス細工に目を落とす。時間をかけてこの通りを歩いたが、それも愉快だ。非常に少ないが、若干のカーニヴァル参加者らしき人たちとすれ違う。
ロンゴ橋(Ponte Longo)までやってくれば、もうすぐ。
橋を降りて右手に曲がり、間も無く左手に伸びるアンジェロ・ダル・ミストロ通り(Calle Angelo dal Mistro)を突き進むと自動的に広場にたどり着く。そこに目当てのお店がある。
ここを初めて訪れたのは10年以上も前になる。オペラツアーの企画をした際に、日本側のある方の要望でどうしてもここで食事がしたいという事だった。ところがこの店は地元の人が行くため、お店側から当初はキッパリ断られ、その希望を叶えるのに難航した。
ツアー参加者は15人ほどいたからかなりの席数を奪うことになり、観光客より地元に根付いたこの店にとってははっきり言って迷惑な私の要望だったのだろう。しかし私にとっても今までに無かった大きな仕事だったし、何としても結果を出したかった。そして未熟な私の唯一の手段は『熱意』しか持ち合わせていなかった。
とうとう先方は根負けしてくれた。こういうのイタリアっぽいなって。駆け出しの頃の大きなお仕事をもらった嬉しさと身の引き締まるような責任感は今でも忘れられない。そんな懐かしくほろ苦い思い出があるからこそ、特別の場所であることは今後も変わらない。また仕事でこの場所に戻ってくる事ができた幸運を感じつつ、食事の味や混雑していた景色、真夏のとても暑く日差しの強いあの日が蘇る。大袈裟に言うと私の天職の原点がまさにここから始まったとも思っている。
イタリアで変わった旅を提供したい、他にない旅を味わってもらいたい、そんな旅人の願いを叶えたい。その気持ちが強くなったのがその頃の私だった。今回、私にとってのここへの帰還における興奮はちょっとしたものだとお分かり頂けましたでしょうか?
ああ、ランチのことは明日に持ち越しだぁ。スマヌ
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