みなさん、こんばんは
私の同僚でルーカというお兄ちゃんがいる。時々私のブログにも顔が登場するリグーリア人だ。そのルーカにスポットをあてて話したい。
彼の仕事の仕方が私とちょっと被る時があるなぁと思った。例えばフリータイム後の点呼は多くのツアーリーダーがやること。バスなどでの移動では乗車した時の人数を数えるだけで点呼はしないけど、チンクエテッレのような場所では毎回全員いるかどうかの観点で点呼は重要だと思われる。
が、
ルーカは点呼を最後までしない。非常に珍しいパターンだ。しかしよく考えてみたら、私もそうだった。日本で添乗員というお仕事をしていた頃、『私は点呼しませんので、時間厳守でお願いします』と出発時に言い放っていた。とは言え、出発時点でお客様の顔を記憶で叩き込んで置いて数を数えなくても点呼をしなくてもいいようにする。かなり難しいことのように思えるが、場数を踏めば実はそんな大変ではない。ルーカも恐らくこのやり方なんだと思う。お客様たちは初っ端からそんなことを言われて集合時間を守ることに協力してくれる。
日本の旅行会社はマニュアルが完璧で、危機管理も全てマニュアル化されている。だからどの添乗員に当たっても同じようなサービスをもらえるのかもしれない。それが上手いか下手かの違いである。それがイタリアではそれぞれのツアーリーダーのやり方が違う。集合時間に来ないと、さっさとそのお客様を置いていってしまう人、5〜10分は待つ人、最後の一人が来るまで待つ人情派の人も。通常は時間になってもオフィスに遅れたお客様が連絡をしてこなかったら置いて行く。これ、イタリア式。
『集合時間に間に合わない人を待つ事は、時間通りに集まった人に対して失礼』という意見に賛成の私は日本で既にこのシステムを導入していた。幸いにも大きなクレームもなかったし、それ以前に問題は起きなかったからやっぱりラッキーだったと思う。私の若い頃を見ているようで、ルーカの仕事ぶりが私のそれにシンクロする。彼のジョークも私が好きなタイプ。ちなみに同僚たちのウィットは凄く勉強になる。どの国の人たちが参加しているかによって少しずつ変えるのも見事なものだ。
ルーカとはシエナも一緒に仕事するが、今年はやたらチンクエテッレでばかり働いているみたいなので、
『あなたはチンクエテッレの仕事が好きなのね』と声を掛けたら、
『だってチンクエテッレは仕事してないもん』とあっさり返してきた。
勿論ルーカが仕事をしていないなんて誰も思っていない。でも仕事へのスタンスやモチベーションが自分と似ているんじゃないかなって。仕事という責任感よりもその場を楽しむ。でもいざトラブルがあった時は冷静に分析して最小限の危機回避を想定して動くことを考えていて、そして動けている。
人は幾つになっても学ぶものがあるんだな。そんなルーカの朝の時間厳守に向かわせる一言。
『僕は時間通りに来ない人は『チャオ、チャオ(バイバイ!)』だよ』
恐ろしいことにこの一言が妙に効果的で常習的に時間を守らないインド人や南米の人たちに響いているのは事実かも。そうして無事にツアーが終わった時、ルーカは私に言うのだ。
『チャオ、チャオ効果、うまく機能したでしょ!』自慢げな彼にはまだ言っていないけど、私もどっちかと言ったらあなた側の人間なのよ。頼もしい仲間に囲まれて外国人観光客に対する所作をいつも学べる環境にあるのはありがたいといつも感じる毎日だ。
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