みなさん、こんばんは
この記事は私の人生を振り返ったものです。バックナンバーは『なぎさの作り方』で読むことができます。 前回は『4:学力が劇的に上がった長尾先生との出会い』についてお話ししました。
『将来の夢』
そんなテーマで学校の文集に書く事があります。このテーマについて私は思うところがあります。
そこに書かれたことを現実にする人はどれくらいいるのでしょうか?
例えばそういう時って多くの人が職業を書いたり、例えばオリンピックで金メダルを獲りたいなど栄誉に走る事が多いと思います。そもそもこの文集に書く意味はなんなのでしょうか?学校の先生はその理由を生徒さんたちに説明しているのでしょうか?というのも私はこの行為の意味がわからなかったから。
未だに家族間で笑い話になる、私が書いた将来の夢、これは私が幾つ位の話なのか…
『けいさつけん』と書いたそうです。担任の先生から家に連絡があったとか。子供って本当に無邪気なものです。なんて事はない、警察犬と婦人警官が主役のドラマが当時あったんです。その辺がネタだと思います。
ただ以前もお話しした通り、私は幼少期、兼高かおるさんに根底で衝撃を受けていましたから、もちろん警察犬になるつもりなど毛頭なかったと想像できます。外国というとても魅力的なものを画面を通して見て、日々誰かに怒られるような私にとってそれが大きな存在だったあの頃。しかし日本を初めて飛び出す事ができたのは18歳の時なので、その道のりは遠く長かったです。海外旅行がしたいと言った限定的なものではなく、移住のような長いスタンスのお話は大きな壁が幾つもありました。両親はおそらく日本の外に出ずに一生を終えると思います。姉も海外旅行に行かないくらいですから、そんな誰も全く外国に興味のない家庭で一人不思議な世界をのぞいてみたい欲望を持っていた私。親戚や近所の人、知人、友人、そんな影響をうける人が周りに全くいませんでしたから、やはり兼高さんが火付け役ですね。
18歳のとき、短期留学でカナダへ。相反する2つの家でのホームステイもまぁ驚きました。その時に私が想像していた通りの、日本では味わえない世界がそこにありました。帰国後すぐにまた海外に行きたい旨を両親に伝えました。唯一知る海外、カナダに行くのが一番適当のように思えたのでそう言いました。勿論すぐに却下。それから両親を説得するのになんと10年もかかってようやくイタリアまで来る事ができたのです。うちの家族は極めて保守的なタイプでした。ですから、すぐに留学を許す親御さんのお話をたまに聞くと、こうも家庭とはそれぞれ違うのか、世の中は不公平だとも思いました。
子供が夢を持ち、それを親が理解して後押しまでとは望みませんでしたが、せめて放っておいて欲しかったですね。私は完全アウェーの中、許可の出る時期をずっと待ちました。後々その成り行きはお話ししますが、海外移住へのスタートが遅かったのはそんな理由です。
私に迷いはなかったけど、親子の縁を切る覚悟で海外に飛び出すつもりは何故か無かったです。それは最低限の親へのリスペクトがありましたから。少なくとも私を必死で育ててくれた事に対して仇で返すほど私は不人情ではありませんでした。どうしてもちゃんと口説き落として日本を離れるのが筋だと決めていました。
ガイドになりたいという夢は20歳を過ぎて大分後の事になります。自分が海外で生きていくために何ができるのか、その適性を調べるのに手こずったからです。勿論イタリア行きが決まった時にははっきりとそのプランは出来上がっていました。兼高さんをテレビで見てからその夢を叶えるために費やした時間は途方もなかったですね。説得が10年間、親が折れた時の事は忘れられません。それは私に対する諦めだったのか根負けだったのか分かりませんが、知ろうとも思っていません。もう叶ったんですもの。
人によっては私のなんて夢でもなんでもないのかもしれません。しかし私にとっては夢だっただけの事です。我が家ではとにかくハードルの高い内容でした。
両親は彼らが思う日本で『普通そして平凡な』決まりきった人生を送ることを心から望んでいました。しかし私が親の意に反したのは仕方のない事です。これは私の人生のことなので妥協する訳にはいきませんでした。もし言われたように日本で生活することを選んで歳を取ってお婆さんになった時に、両親を恨んで生きるなんて御免でした。
私は夢が叶ってイタリアに住みガイドをしながら今ここにいますが、そこには親の気持ちを無視した犠牲があったのは理解しています。意に反したのは申し訳なかったですが、自分の子供が将来の夢を持っていて、それを現実にした点は誇りに思ってもらいたいですね。
一つ言えるのは、夢を持った時にそれを現実にするまで時間がかかってもいいと思っています。夢までの道のりで回り道や迷子になってもいいんです。最終的にゴールできたら万事オーライ。
しかし『けいさつけん』の夢は叶いませんでした…
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