Fort St. John、真冬はマイナス20度にもなる極寒の地ですが、夏場は日が長く非常に過ごしやすい所です。
ダウンタウンは一般的な町並みですが、
少し山の方に向かえば澄んだ空気と大自然が広がります。
学校は午前中に語学を勉強していたような(よく覚えていない)で、午後はそれぞれ興味のあるお達者倶楽部に通うことができました。私はホースバックライディングという馬の乗り方や扱い方を覚えて、自然の中で乗って走るという何の役にも立たない楽しいコースを選びました。
モカシンも作ったりしましたね。意外と良くできたはずなんですが、使った覚えもあまり無く、いつの間にか自宅から無くなっていました。学校が終わると家から持ってきたランチをみんなで食べたり、たまには外食をしました。食事に関しては全てのポーションが多いのもさすがカナダだなって思いました。
夕食後には白夜のお陰でゴルフを楽しむこともでき、それも北の町ならではの経験でした。
また、私がホームステイしたのはある4人家族でした。カナダ人のお父さん、ドイツ人のお母さん、お父さんには子連れの15歳くらいの長女がいて、夫婦の間には3歳ほどの女の子がいました。長女と継母は非常に仲が悪く、私にとっては不思議な環境でした。バチバチでの親子喧嘩は正直引きましたね、ドラマみたいで。生活環境は悪かったのですが、何事も経験だといえばそれも良かったのかと思っています。このような家族関係でもうまくいっている家もあれば、ここみたいに歯車が合わないところもあります。彼らは上手くやっていこうとはしていました。しかしそんな簡単なことでもなさそうでした。恐らく私がこの家庭にお邪魔することで、何か化学反応が起きていい方向に進むのではないかと期待の上に受け入れをしたのかもしれません。また、お父さんは失業していたので多少の生活費を賄う目的だったとも言えます。
このように私たちは様々な家に受け入れられて、それらの家々はどこも同じと言うことはなく、貧乏な家から金持ちの家、子沢山の家から老夫婦の家、どこの家にお邪魔しても環境が違うのでいい勉強になりました。私たちは彼らの家を選べませんでしたが、それで良かったのかなと思いました。
しかし家庭内不和にいるのは私だけだったようです。ギスギスした家庭内の人間関係に段々私は参っていったんですね。今ならなんてことはないと思いますが、あの頃は乗り越えられない甘ちゃんだったんでしょう。私は学校に相談してホームステイ先の変更を願い出ました。
問題はここからで、それを知ったお母さんはひどく私を責め、その日のうちに私の部屋に来たかと思ったら、初日に差し上げた日本のお土産を私に全て投げつけてきました。驚きと悲しみでその日の夜は恐ろしくて眠れなかったのを覚えています。ドイツ人女、怒るとめちゃくちゃ怖いです。今もトラウマです。
で、早朝私は家出をするんですよ。
スーツケースに全ての荷物を詰めて家からこっそり逃げました。一番近い友人が滞在していた家でも歩いて30分くらいは掛かったんじゃないでしょうか、荷物もあったことですし。で、その友人の家に転がり込むんですよ。事情を友人ところの家族に伝えて、保護してもらいました。お世話になったホームステイ先との別れが余りに失礼だったのはやっぱり私の大人気なさが出ていたんだと思います。もちろんメールなどある時代ではありませんから、両親は日本で大学から事情を聞いたのでしょう。両親が心配している顔は浮かびますが、よく考えたら大したことではないのです。とにかく18歳の私は打たれ弱すぎました。だらしないと思います。
それから新しいホームステイ先を見つけるのが困難でしたが、また別の同級生が滞在するところに一緒にお世話になることになりました。これまた面白い女性の家で、彼女はイレーヌって名前の確か25歳くらいの一人暮らしの一軒家でした。同級生の友人と3人暮らしを始めるのですが、イレーヌは20歳くらいで一度結婚をしているんです。で結婚してから一週間後に『性格の不一致』で離婚すると言う冗談みたいな人生を送っていました。彼女の発想が何だか一々欧米でしたのでいつも笑わせてくれました。彼女の家族は車で1時間くらいのところに住んでいて私たちも時々お邪魔したりしました。料理があまり好きではないらしく、夕ご飯はよくマクドナルドなどのファストフードに行っていました。それはそれでカナダらしいなと面白がっていましたね。
イレーヌはまたイグアナを飼っていました。夜中に脱走するので、見つける作業を時々行うために起こされましたね。
これが普通の女の子の反応だとは思うのですが、同居中の友人はビビっていました。寒がりなイグアナは大抵イレーヌのベッドの中で発見されました。
私がホームステイを経験したのはこの時と、それから10年以上後のイタリアでの一年ちょっとほどでした。また、他人と一つ屋根の下で暮らすこと(シェアハウス)と他人の家族と暮らすこと(ホームステイ)もかなり違います。ちょっと珍しいかもしれませんが、シェアハウスは恐らくまだ体験したことがないと思います。それはそれで色々大変らしい話は聞いたことがありますが楽しかったりもするのかもしれません、知らんけど。
それから一人暮らしも含めそれなりに経験できたのは良かったと思っています。経験しなければ味わうことのできないものが沢山ありました。特に若い時分でホームステイを味わえたのはとてもいいことでした。もう無いだろうな、こういう経験は…