カターニアのドゥオモでーす。バロックでごわす。
地震や事故によって何度も破壊され、再建されたこの大聖堂は、ローマ時代の浴場と市の守護聖人の殉教の場所に建っています。正面はカッラーラ産の大理石でできています。
守護聖人は聖アガタという女性で、3世紀にカターニアの裕福なキリスト教の家庭に生まれました。15歳の頃、彼女は自分を神に奉献したいと願い、カターニアの司教は彼女の願いを受け入れ、奉献されたショジョが着用する赤いベールを彼女に課しました。カターニアの総領事クインツィアーノは彼女に会う機会があり、恋をし、デキウス帝の迫害令のもと、国境侮辱の罪で彼女を告発し、ブラエトリアン宮に連れて行くように命じました。総領事による誘惑の試みは成果をあげず、激怒して尋問や拷問をしました。聖アガタは信仰を捨てず抵抗し、彼女の胸を巨大なハサミで切り取りました。その後焼却が命じられましたが、強い地震により実行できませんでした。251年、アガタを残り火の中から取り出し、苦しむ彼女を独房に連れ戻して数時間後に亡くなりました。
聖アガタの戴冠式。柔らかい暖かい絵ですね。
現在の教会は1711年に建てられました。
右側の後陣には聖アガタの豪華な礼拝堂に貴重な聖遺物が収められた聖室があります。またこの大聖堂には数多くのノルマン人(北方ゲルマン)、シュヴァーベン人(ドイツ南西部)、アラゴン人(スペイン中央部)の王家の墓もあります。
右側の通路には音楽家ヴィンチェンツォ・ベッリーニの葬儀記念碑があります。
1801年にカターニアで生まれた19世紀で最も有名なオペラ作曲家の1人です。パリにてわずか33歳で病死してしまい、パリのお墓に埋葬されますが、その後カターニアで再埋葬されました。
イタリア人にとっては以前の5,000リラ紙幣の顔になったんですよ。覚えてるかなー?
そしてドゥオモ前にある象の噴水。1730年代に作られました。現在修復中ね。
高さ3.60mのオベリスクの下にある象さん。オベリスクの上には石板と殉教を表すシュロの葉、純潔を表すユリの枝、十字架が乗ってますね。
そして下には象さん。
魔術師に因んでリオトル、エリオドロ、ディオドロ、リオドロ、リドロ、テオドロなどと呼ばれました。名前多すぎ。エリオドロはカターニアが東ローマ帝国のビザンツ帝国の属州であった725年ごろに生きていました。彼はカターニアの司教になることを熱望しましたができませんでした。しかしある日、彼はユダヤ人の魔術師に出会い、魔術を教えられ、ユダヤ教に改修させられました。ある夜、エリオドロは英雄の墓に行き、ユダヤ人の魔術師から渡された謎の文書のおかげで悪魔を呼び起こしたと言われています。ついにサタンが現れて、何が欲しいのかと尋ねました。自分の野心を語ると悪魔はこう答えます。『もしあなたがキリストへの信仰を否定するなら私は宮廷の1人であるガスパレをあなたのそばに置き、しもべとなり、魔法の力を与えます』。こうしてエリオドロは力を得ました。
エトナ山の溶岩を使って魔法で像を造ったのは彼です。魔法の馬に乗って街を駆け回り、住民に悪戯をしたり揶揄ったりしました。象はカターニアからコスタンティノープルまでの長い旅にも使われました。彼は本当の悪人と言われました。
彼は市場に行き、金やダイアモンドで支払って好きなものを全て買いましたが、市場を出ると宝石は石に変わったと言われています。かつて司教の甥に競馬に入札するよう説得し、結果的に司教が勝利したことがあります。しかし賞品授与の際、優勝した馬は実際にはサタン自身であることを明らかにして姿を消しました。このためエリオドロは刑務所に連行されましたが、看守に3ポンドの金をを提供して賄賂とし、自由を取り戻します。この金はそれらしく見えた大きな石で、後に元に戻ってしまいました。彼はコスタンティヌス帝によって死刑を宣告されましたが、執行されようとした時、彼は小さな水の入ったタライを求め、その中に頭を突っ込み謎の失踪をしてこう言い残しました。
『私を求める人はカターニアで私を探してください』
ところが再び火を放った罪で死刑執行人の前に連行されましたが、再び彼は街の精霊たちに連れ去られ姿を消しました。魔術師エリオドロは灰の山となり、そして彼の象は生き続け、街のシンボルとなっています。
伝説とは別にこの象の像は元々市内にある東洋儀式の寺院の崇拝の対象であったと考えられています。奇妙なことにそれはキリスト教の初期に祭壇から落ちて城壁の外に運び出されました。数世紀に渡りそこに残され、その後しばらく忘れられていましたが、聖アガタ修道院のベネディクト会の神父たちによって町に持ち帰られ、古代のアーチを飾るために置かれました。しかし1508年に古いチッタ宮が完成するとアーチは取り壊され、建物の新しい部分のファザードに象が置かれ、1693年の地震の後再び象は放置されましたが、現在のようになったのは1727年にカターニアを訪れたオランダ人が要請したためです。
カターニアの紋章はアラゴン王冠とSPQR(ローマの元老院と市民) の文字の他に聖アガタの『A』と象さんが記されています。
聖アガタはわかるが、魔法の象さんはどうもピンとこないがこれでいいらしい。
へー…なる。