カラブリア州、ヴィッラ・サン・ジョヴァンニ駅。
人口1万人強のまち。その町の名から洗礼車ヨハネが守護聖人であることは私の暮らすフィレンツェとの共通点です。そしてItaloが停車すること、シチリアへ行くための窓口であることとしてが位置づけとしてあります。これが町を発展させた大きな理由でしょう。
近代では養蚕と紡績の町として知られたのも過去の話。1700年代終わりと1800年代末、1900年代初めに大地震に見舞われた不幸も味わっています。1905年3月にはシチリアへの行き来ができる鉄道車両のフェリーサービスができたものの、3年後に起きた地震で海峡全域が被害に遭ったり…
私に言わせると下関のような感覚があるのですが、もう少し盛り上がってもいい土地なのにな。でもだからこそここに降りてみました。
しかしその理由を伝えた後でのおかしな行動だとは思われそうですが、電車でちょいと足を伸ばします。
お隣の駅、シッラに行ってみます。8分、1.40ユーロで行けます。1時間に1〜3本ほど電車はあるのでそんなに困りません。
向かう方向はナポリ方面って言えばいいのか。逆方向がレッジョ・カラブリアですね。
シッラには何があるか知らん。知らないから行ってみます。
常にシチリアを感じるようなルートですね。
案の定左側には常にメッシーナ海峡があります。ちょいちょいトンネル潜るけど、列車は快適です。海が左側に見えるのは分かっていたので、右側に座ってしまって左ばかり見ていた私たちに地元の男の子かな?席を交換してくれました。優しい!でも次で降りちゃうんですけどね。
で、これがメッシーナ北端のファロ・スーペリオーレ。
予想通りサクッとシッラに到着しました。ここ無人駅だ。
駅は階段を上ったところにあり、そこからみると建物の先に海が見えます。こちらも予想通り穏やかで静かな町だ。
なんでもここは夏の観光地として人気があるようですよ。
よし、散策開始!
駅前の地図を見ると、駅からまっすぐ走る通りを抜けるとマリーナ・グランデという砂浜が広がっています。そこから右に進むと港に行けて、さらにそのまま進むとキアナレーアってまた砂浜があるらしい。
マリーナ・グランデに出た段階でScillaのオブジェがあり、噴水になっています。ここ写真スポットね。海をバックにみんな写真を撮っていました。遠くにファロ・スーペリオーレが見えます。どこまでもシチリアがいるなぁ。
この辺りは透き通った水と深海があり、スキューバダイビングにも人気があるそうな。
『ホメロスによると、ここにはセイレーン(人魚)が住んでいて、そのメロディ、歌声で船員たちを魅了しました。
部下に自身を船のマストに縛り付けるように命じたあと、悪影響を及ぼさずに聞くことができたのは狡猾なオデュッセウスだけでした。このためシッラのビーチはSpiaggia delle Sireneとして知られています。』
ホロメスってのは前8世紀ごろと言われる古代ギリシアの吟遊詩人で、オデュッセイアは彼の長編叙事詩。
半人半魚(半鳥)のセイレーンは美しい歌声を持ち、航行中の船をその声で難破させて喰っちゃうって言い伝えがあります。こえー!
ところが物好きな英雄オデュッセウスはその歌声を聞いてみたかった。そこで蜜蝋で耳を船員に塞がせて、自分は船のマストに縛り付けさせます。歌声を聞いたオデュッセウスはセイレーンの島へ行くのだと吠えますが、船員は彼の声が聞こえないため、淡々と船をすすめて助かるって話。そんなシッラのビーチがセイレーンの砂浜と呼ばれる所以です。