みなさん、こんばんは。
アルノ川です。遠くから眺めると美しいもんです。
穏やかに見えますが、長い時代の中で何度も氾濫を起こし、橋を壊して大暴れすることもありました。そこにかかる橋の中で有名なのはご存じの、
ヴェッキオ橋でーす。
フィレンツェで一番古い橋。古いどころじゃない、1345年に作られた橋を後生大事に使っているんだから。いずれにしてもこの橋は町のシンボルでもあり、人々はここを訪れて写真を撮るのです。
第二次世界大戦時のナチスによる侵略、1966年のアルノ川氾濫などでかなり痛んだこの橋の修復がようやく始まります。
それは2024年の秋からとなっています。簡単に何をするかというとお掃除ですね。
表面の除染、消毒。藻、コケ、雑草、堆積物、化学物質などからのお掃除をすると言うことです。あとは劣化した部分の補強や石の舗装も修復します。
これにかかる総額は200万ユーロと言うことですが、うち半分をアンティノーリ家が資金提供すると。100万ユーロって言ったら1億7,000万円です!
へー、太っ腹だな。アンティノーリっていうのはフィレンツェの古い貴族で、侯爵号も持っています。チェントロにあるトルナブオーリ通りという現在はブランド街として有名な通りの付け根に15世紀に作られたアンティノーリ宮が未だにあり、またその地上階ではアンティノーリのお洒落なレストランがあります。
ま、ワインが好きな人なら知っているであろうワイナリーMarchesi Antinoriと言えば聞いたことがあるでしょうし、今やなかなかの値段がするTignanelloが今年50周年だとか。それもあっての資金提供なのかわからんが。
しかし長年フィレンツェで共に歴史を歩んだこのアンティノーリがこのプロジェクトに参加できることを嬉しく思うとマルケージ・アンティノーリの名誉会長、ピエロ・アンティノーリが言っているらしい。ちなみにこの家系は26代目だそうです。
余談ですが、こんな話を聞いたことがある。
真冬の最中に暖房が壊れたフィレンツェにある小さな教会。予算もなく困ってしまいました。教会には老人など含め、気持ちを穏やかにするために、祈りのために来る人も少なくありません。どうしても暖房は必要です。
そこで地元の銀行がすぐに資金を出したということです。もちろんこれは貸したということですが、利子も取られずゆっくり返していってくれればいいと。
みんながフィレンツェで生きていて、生かしてもらっているという誇りを持って恩返しの形でこの古い街を守ろうとしている。
中にはそういう修復などでスポンサーが宣伝のために使うこともあるでしょう。
しかし誰かが助けないと街を維持できないのだとしたら、こういう力は必要不可欠ですね。
舗装作業は2024年10〜11月に予定されており、橋の杭の作業は2025年夏、さらに2026年夏にもアーチなどの作業をするようです。
目に見えて綺麗になるとかではありませんが、まぁ、デトックスみたいなもんだろうね。この橋、679歳。大切に使っております。
ガイドとして生きている身としては、アンティノーリに感謝します。
++++++++++++++++++++++
中央市場に来たい人は、