今回の旅の記事は、

Poeta Coviliの美しい景色を眺めた後に、ピエンツァ方面へ車を進めます。
そう、『あの木』を探しに。
浜田省吾さんの木の下でギターを弾きながら椅子に座る写真に写っている、たった一本の木をこのオルチャ渓谷で見つけるのが依頼の内容です。
こっから集中していきます。
以前の
ブログの記事にも載せた地図のスクショがこちらです。私たちがあの木を見つけたのはこの一本道です。しかし、1回目は道路からあの木にたどり着けなくてその時の位置がここだったと思われます。よって、この近辺のどこかだろうと鷹を括っていました。
ところがどんなに探しても見つかりません。
似たような木はたくさんあるものの、あの風景はたった一つのはずです。
そして、とうとうピエンツァにかなり到着してしまったのです。。ルイージは他の道も探してみようと言うのですが、なんだか違う気がしてなりません。悲しいかな、煮詰まって嫌な空気が流れます。
ここで気分転換ということでせっかくだからピエンツァでお昼を取ろうということになりました。いつもなら喜んでその模様も撮っているところですが、私にはその余裕がありませんでした。レストランのウェイターに画像を見せてヒントをもらおうとルイージがナイスアイデアをかっ飛ばします。いいねー、そうしよう。
ウェイターはこの画像から遠くに映る町はラディコファーニじゃないかと言うんです。
私の以前行った時の記事ではピエンツァと書いてあります。えー、現地の人が言うからそうなのかな?間違えたものを記述したのかと、かなり混乱してきました。
ピエンツァとラディコファーニは方向が全然違います。このアドバイスが以前の記憶を信じたい私の中で訳がわからなくなっていくのです。
ウェイターのお兄ちゃんは地元の人です。彼の言い分が尤もだと思うのが普通のことですが、どうも納得できない自分がいました。それでもやるしかない。お礼を言って食事を終え、再び木を探す旅が始まりました。
ピエンツァを後にします。私としては以前マップにチェックを入れたSP18の通りがどうしても気になるので同じ道を通ってほしいとルイージに頼みました。浜田さんガチファンの奥様は、
『ここまでしてくれたからもう十分いいですよ〜。アッシャーノの駅に行きましょう』
と悲しい一言が後部座席から聞こえてきました。しかし、限りなく近くにいるはずなので、私としてはどうしても諦めたくありませんでした。ルイージも同じ気持ちだったと思うんです。6年前、あの時に木を見つけられたことは毎日ガイドとして、ドライバーとしてお仕事している身からしてもひどく達成感のある貴重な体験だったのは言うまでもありません。そしてそんな私たちを頼ってお声がけ頂いたのです。
できるだけゆっくりと車を動かしながらこれが最後のチャンスかもしれないと心に決めて先に進めると、見覚えのある風景がありました。
丘陵地帯の上に見える等間隔の木の並び、これ知っている!
そしてそこから目に入る一本の木、あれか?
だとしたらこの道から横に通る畦道がどこかにあるはずです。希望が見えてきました。
これか、ここかと車を止めては確認します。
そしてそれらしき道を見つけることができました。画像からは『あの木』が見えませんが、遠くにあるはずです。一か八か、この道を歩きます。車は入っていけませんので、ルイージはお留守番。私はご夫婦と共に歩き出しました。
前回は雨の後のため、ぬかるんだ道を注意深く歩きましたが、今回の道は乾き切っていて、非常に歩きやすいです。どのくらい歩いたかの記憶が残っていないのですが、木まではそんなに遠くなく、でも近くなくって感覚だけ残っていました。
先ほど見かけた木が『あの木』であって欲しい。
それだけ願うような気持ちです。ひたすら足を進めるのみ。そしてとうとう…
一本の木が見えてきました。
さて、この木は『あの木』か?
似てるようにも見えますが、違うかもしれない。
そして位置を変えて写真を撮ります。奥に見えるのはピエンツァの町並みです。
もう一度浜田省吾さんのMVの1シーンと確認します。
これだ!
ビンゴでした。
もう涙出そうです。お客様ご夫婦も喜んでいただきました。
遠くでルイージも私たちが『あの木』を見つけたことをなんとなく知ったのでしょう。
次回この依頼があっても迷わないように、グーグルマップにピンをつけて私に送ってくれました。
彼なりの備忘録のようです。
二度あることは三度ある。もしかしたらまたこの依頼が来るかもしれないと思ったんでしょうね。今度はすぐに見つけられるぞという心意気が伝わってきました。
私が木を目の前にした時の位置はこちら。
SP18の通りからピエンツァ方向で途中の畦道を歩くとこの場所にたどり着けます。
地元民のウェイターさんでも間違ってしまうオルチャ渓谷の風景。やっぱりこれは難題でした。
とは言え、結果オーライ。何とか見つけられて私もルイージもようやく肩を撫で下ろしました。
あの時の感動が蘇り、何とも言えない気分になりました。
『あの木』を見つけることはもはや私の自己満だったのかも知れなかったと後々落ち着いて考えたほどです。お客様ご夫婦にはお時間をいただき申し訳ありませんでしたが、これができればあとは駅に向かってホテルへお届けすればいいという流れです。